出血は必ず頻脈になるんですか?
Q.出血は必ず頻脈になるんですか?
A.必ずなるとは限りません!
まず基本として、出血して循環血液量を失うと血圧が下がって死亡します。通常はそうならないように代償機転が働き、つまりは
・末梢血管が収縮したり、
・心拍数を速くしたり、
・心筋収縮力を強くしたりして
組織への酸素供給を保ちます。よって頻脈があれば出血を疑うことができます。ということは、頻脈がなければ出血はない…と言えないのが医療の難しいところですね。
理由は二つあります。
一つは、β遮断薬(ビソプロロールフマルなど)の内服です。いわゆる心臓の悪い人は心筋の酸素消費量を減少させる目的でβ神経を遮断します。以下の表のように交感神経は興奮すると脈拍が速くなります。脈が速くなると心筋の酸素消費量が増えてしまうので交感神経の興奮を抑えて心筋の酸素消費量を減らして心筋の酸素需給バランスをとっています。心臓の悪い患者さんに心臓の動きを抑えるというのは何とも不思議ですが、効果があります(お腹がすいたと泣き叫ぶとお腹がすくからじっとしている的な?)。

よって、心疾患の既往のある患者さんは、ビソプロロールフマルの内服の有無を確認することが重要で、私の意見としては、問題点として挙げておくべきと考えています。特に抗凝固薬や抗血小板薬を服用している患者さんは消化管出血の合併リスクが高く、「なんか顔色悪いけど、頻脈になってないから…」と判断すると対応が遅れます。出血による心停止は救命率が低いです。頻脈があれば出血を疑う、頻脈がないからと言って出血がないとは言えない、ということは十分に理解しておきましょう!
▶ Step Up!
もう一つ、「急性出血において徐脈になる」という報告があります。非常に重要な知見と考えますので、こちらでご紹介いたします。
▶ まとめ
・出血では、循環動態を保つために代償性に頻脈となる(頻呼吸にもなりますね)
・心不全の患者さんは、β遮断薬(ビソプロロールフマル)を服用していることが多く、代償性頻脈が起こらないことがある
・心不全の患者さんは、抗血小板薬、抗凝固薬を服用している可能性があり、そもそもリスクが高い
▶ YouTubeでさらに詳しく解説しています!




コメント