輸液ルート内の「空気」を考察する、脳梗塞を防ぐルート内空気除去ディバイスの必要性
輸液内に「空気」が溜まっていることがある、特に輸液ポンプを使用した後は温められることが原因なのか、100%の確率で貯留し、アラームで呼ばれる忙しい看護師のイラつく原因となります。
対処法としては、「指ではじく」「ペンでグリグリする(笑)」になってくるかと思いますが、思い通りにいかなくてイライラしますよね。
そこで、「この空気、流してしまってよいのではないか?」と悪魔の考察をしてみました。
結論・・・「脳梗塞を防ぐルート内空気除去ディバイス(decopin)」を使おう!

やっぱり流してはダメですね。まず、点滴は静脈内投与ですから本来は流しても大丈夫なはずです、フィルターである肺で捉えられますし、その量がごく少量であれば十分に処理されます。しかし、肺のフィルターの機能が機能しない病態があります。
・心房中隔欠損症
・卵円孔開存
・肺動静脈奇形
です、いずれもシャント疾患であり、静脈の血液が動脈に流れ込む瞬間があります。肺動静脈奇形に空気が流れ込む確率はかなり低いですが、心房中隔欠損症と卵円孔開存はいきんだ瞬間に右心房の血液が左心房に逆シャントします。そしてそこに空気があれば・・・・空気による塞栓型の脳梗塞になりますよね・・・本当にそんなことあるのかと調べてみると、頻度は低いですが報告があります(症例報告は文末参照)。そして、その患者さんに心房中隔欠損がないとは言い切れませんよね。
これ、実際に使ってみたのですが面白いように空気が上がっていきます。夜勤で忙しいときにに重宝するというか、意外に空気がぶるぶる上がっていくので謎の達成感があるんですよね(笑)。その精神的な効果が大きくてですね・・・
「空気を抜かなければいけないのはわかっているけど、忙しくてイライラする」という精神状態から、「あ、空気アラームだ・・・大チャンス!私行きます!!」に変化するのが人間の不思議なところですね。
メーカーさんが使用方法の動画を出されてますのでぜひご覧になってください(開始数秒で空気が上がっていく動画になってます!)。
【静脈内の空気が原因で塞栓型の脳梗塞になった症例報告】
Patel – Cerebral Air Embolism Following Peripheral Intravenous Access: A Case Report
【要約(Google翻訳で翻訳)】
はじめに:血管内空気塞栓症(VAE)は、末梢静脈カテーテル留置や外科的処置などの医原性手技に伴う、頻度は低いものの既知の合併症である。本稿では、末梢静脈路確保後に卵円孔開存(PFO)を介した奇異性塞栓症により両側多発性脳梗塞を発症したものの、画像検査では頭蓋内空気が検出されなかった若年女性の症例を報告する。
症例報告:42歳の女性が、外来での処置のために末梢静脈カテーテルを留置された数分後に、突然の意識混濁、激しい頭痛、および左半身の脱力を呈した。脳MRI検査では両側多発性脳梗塞が認められ、脳血管造影では塞栓症を示唆する末梢枝の閉塞が確認された。さらなる精査により、右左シャントを伴う卵円孔開存(PFO)が確認され、他の塞栓源は認められなかったことから、末梢静脈路確保に関連した奇異性空気塞栓症と診断された。患者の臨床症状は改善し、抗血小板薬および脂質低下薬による治療を開始して退院した。今後は、PFO閉鎖術の適応について外来で評価を行う予定である。
考察・結論:脳空気塞栓症は、急性脳卒中様症状を呈する稀な(多くは医原性の)原因疾患であり、肺血管の閉塞、卵円孔開存(PFO)などを介した右左シャント、あるいは静脈内空気の逆行性移動によって引き起こされる。本症例では、末梢静脈路確保後のPFOを介した奇異性塞栓症がその機序として疑われた。早期の認識と画像診断が不可欠であり、高気圧酸素療法が治療の主軸となる。また、高リスクのPFOを有する特定の患者においては、脳卒中再発リスクを低減するために閉鎖術が有益となる可能性がある。本症例は、低リスクの処置後に突然の神経学的欠損を呈した患者において、たとえ初期の画像検査で異常が認められなくても、奇異性空気塞栓症を考慮する必要があることを示唆している。静脈路確保時の慎重な空気除去や、PFOのような右左シャントの存在を念頭に置くことは、医原性塞栓症イベントを予防する上で重要なステップである。
ほかにも、同様の報告はいくつもありました。ただ、基本的には中心静脈カテーテルの抜去や切断のものが多いですが、上記の末梢静脈路確保直後というのは怖いですし、実際には院内発症の脳梗塞の何%かは、医原性の空気塞栓の可能性はあると思います。
いずれにせよ、点滴ルート内の空気は、抜きましょう!



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