貧血の患者さんに酸素は必要?
Q. 貧血の患者さんに酸素投与は必要ですか?
A. 基本的には必要ありません!
でも、実際は酸素を流していることはありますよね・・・実際は流すこともあるんですが残念ながらそこまでは効いていないというのが実情です。
ここは酸素運搬のメカニズムを理解する必要があります。この式、習った記憶ありますか?

CaO2というのは、コンテント エー オーツ―つまり、酸素含有量、動脈の中に酸素がどのくらい入っているかという計算式です。左の式は、ヘモグロビンと結合している酸素、右の式は動脈血に溶存している酸素の量です。
1.34という数字はそんなものだと思っていただき、溶存酸素はPaO2(動脈血酸素分圧)×0.003ですのでまったくあてになりません。そうです、酸素運搬は、ヘモグロビン(Hb)とSaO2(サチュレーション:酸素飽和度)にそのほとんどを依存します。
患者さんに今貧血があるとします。貧血にもいろいろありますが、基本Hbは低いです。荷物(酸素)はあるけどトラックがないという状態ですから酸素流してもほとんど意味ないですよね!?

貧血の患者さんは、トラックがない状態ですからトラックの補充(輸血)や材料(鉄)の補充などが必要です。
しかし、実際は貧血の患者さんに酸素を行うことはあります。やっても意味はないのでしょうか?
これは、ケースバイケースです。溶存酸素はわずかには増えます。実際は、貧血と肺炎などの低酸素血症が同時に出現していることもあるでしょう。心不全があれば、少しの貧血でも細胞は酸素不足になります。よって、実臨床では貧血に対して酸素を始めることはあるかもしれませんが、
・貧血による酸素運搬障害に対しては、貧血の鑑別を行って輸血その他の治療
が原則となります。酸素を流せば当然、SpO2は上昇するかもしれませんがトラックがありませんから運搬量は増えません、よって呼吸は苦しいままです。酸素を流したとしても呼吸困難が持続する場合は引き続き、貧血その他の鑑別と治療が必要です。
▶ Step Up!
DO2(デリバリーO2)という概念があり、これは酸素運搬量(oxygen delivery)のことです。心拍出量(CO)とCaO2(酸素含有量)で計算できます。細胞に酸素を届けるためには酸素も必要、ヘモグロビンも必要、そして心拍出量も必要ということですね。細胞に酸素が十分に供給されない状態を低酸素症(hypoxia)と言いますが、酸素だけではなく、飽和度だけではなく、循環(心拍出量や循環動態)だけではなくすべて見ることがアセスメントのコツ、ということですね。トラックで言えば、トラックも荷物も、そして実際にそのトラックがきちんと走ることも重要といったところでしょうか。
▶ まとめ
- 貧血だけでSpO₂が保たれていれば、酸素投与の効果は限定的
- 低酸素血症を合併している場合は酸素投与を行う
- 貧血の治療は輸血や鉄剤など原因に応じた治療が基本
- Hb・SpO₂・循環を総合的に評価することが重要
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